訪問看護には、精神科訪問看護というものがある。精神科訪問看護とは、訪問看護の中でも、利用者を精神疾患を持つ患者に特化したものを指す。精神科病院や精神科クリニックに併設されていることが多く、その需要の大きさに応えて事業所の数も増加傾向にある。このように近年注目を集める精神科訪問看護には、どのようなやりがいがあるのだろうか。
まず、チーム医療の一員として看護師の専門性を発揮できる点が挙げられる。精神科訪問看護の利用者は、統合失調症、うつ病など様々な精神疾患を抱えている。普段の過ごし方も、自宅に籠りがちな人、就労支援施設やデイケアに通っている人など様々である。個別性の高い利用者を支援するためには、チームによる支援が欠かせない。精神科医、精神保健福祉士、保健師、福祉施設職員、行政機関職員など、利用者に合わせて多様な専門職が多職種連携による支援を行っている。そのようなチームの中で、看護師には、看護の知識を生かしたアドバイスをしたり、利用者と精神科医の関係を取り持ったりする役割が期待されている。
また、利用者の生活全般を看られる点も、やりがいのひとつだ。精神科病院やクリニックでは、院内で入院患者や通院患者と関わるが、訪問看護では、自宅という利用者の生活場面に立ち入ることになる。自宅の様子を見ることで、生活の実態が把握でき、それを生かした看護を行える。さらに、退院して間もない利用者は、住み慣れた自宅であっても地域での生活に不安を抱えていることも多い。看護師が定期的に訪問して話を聞いてもらえるということは、利用者にとって大きな安心につながる。このように地域移行支援に携われることも、精神科訪問看護のやりがいと言えるだろう。